24日の日本経済新聞に、空気抵抗について新しい研究データが載っていました。
マラソン、ペースメーカーうまく使えば数分短縮も
↑ マラソンに於ける空気抵抗や ランフォームなど、興味深い内容です。 ぜひご覧ください。
二人以上の集団で走る時の抗力係数は初めて目にします。
ランナーに空気抵抗
ランナーに対して、空気抵抗がどの位影響するのかは、1980年に発表されてます。
結果は、、、
空気抵抗を克服する為のエネルギーは、
スプリント(10秒/100m): 7.8%
中距離 (2’46/km): 4%
マラソン (3’20/km): 2%
かなり邪魔になっていますね。
もちろん、向かい風であれば もっとかかります。
ただ、4’20/kmより遅いペースだったら、あまり関係なくなるかもしれません。(あくまでも無風状態での結果です)
ランナーにもドラフティングメリットある?
自転車を乗ってる人はよくご存知でしょうが、ドラフティングをするとエネルギーの温存ができますね。(40km/hでは、 8人グループの後ろに附くと、エネルギーを39%を節約できます )。
ランと空気抵抗について論文(1971)が細かく出ています。
その中に、
風洞テストで、3’45/kmで走った時の酸素消費量(VO2 エネルギーの消費量とほとんど同じ)を一人で走ってる時(Not shielded)と、ドラフティングした時(後ろ1m)(Shielded)の時とで比べたモノが載っています。 (横軸は風力)
このペースでドラフティングすると、エネルギーを節約できるという事になります。
また、このデータを使って計算すると、1m後ろでドラフティングして2’50/kmで走ると、エネルギーを80%も節約できる となります。
これは400mで1秒の短縮という計算になります。
風の強い日はもっと大きくなりますね。
(あくまでも、空気抵抗に対してのエネルギーですよ)
ドラフトポジションはどこがベスト?
日本経済新聞の記事は集団でのデータですが、二人の場合も風洞実験で図ってみました。
ここは数字より%をみたほうがいいと思います。
“斜線で囲んだRunner” が先頭。
真後ろ10㎝で走ると、11%(1割ちょっと)の空気抵抗という意味です。
そう見ると、40~80cm後ろはほとんど風を感じない。
100cm後ろなら少し抵抗が上がるけど、まだ1割弱の抵抗です。
が、ななめ後ろのポジションだとドラフティングの恩恵は薄いようです。
横40cmだと2割程度。70cmまで離れたらほとんど一人で走ってると変わりません。
走りながら空気抵抗を計算するのは かなり複雑ですが、だいたい2’50ペースで風のない日に400mを走った際に 真後ろ100㎝までの位置取りで1秒程度短縮できるという計算になります。
中距離のレースで、スタートからフィニッシュまで 先頭でリードをするのが難しいのも、この辺りが関係してると思われます。
エイジクラスなら、レース中の風よけとして この情報が利用できるのではないでしょうか。
余力を残すという意味においては、ひとつのポイントと言えそうです。
風洞実験は、モータースポーツの仕事をしてる時に 何回か使ったことありますが、とても高価なこともあり、日本にはまだ数台しかありません。
最近はソフトでシミュレーションできるようになって、コストの関係で今までできなかった研究ができるようになってきました。
今後は スポーツやそれ以外の分野でも、いろんな発見ができることでしょう。
日経新聞に載った研究は、さすが機械工学科というところでしょうか 笑)
最後に、日経新聞の記事を受けて、、、
アキレス腱のバネとふくらはぎ
ランのワークショップ・クリニックを受講された方はよくお解りと思いますが、私の理論は伊藤教授が薦められているランフォーム(アキレス腱のバネを使う)とよく似ていますね。
アキレス腱のバネを使うフォームにすぐ変えられるかは、人それぞれのレベルによって違います。
今まで指導した一般の市民ランナーは、筋力と柔軟力(あるいはどちらか、、、)が足りない事が多く、先ずは動き作り(可動範囲を広げる)から必要でした。
エリートトライアスリートなら、動き自体はすぐ出来ると思いますが、完全に身につくまでは やはりそれなりの期間がかかるでしょう。もちろん個人差は大きいと思われますが、、、
結局、フォームを変えるのには、それ相応の時間と意識がかかります。
また、アキレス腱のバネを使えると、ふくらはぎの動作が変わって自然に細くなります。
「足を着地した後に足首を返して地面を蹴るような走り方」は、ふくらはぎを収縮(コントラクション)させる動作で推進力を作っています。
アキレス腱のバネの力を使う時には、ふくらはぎのエクステンション動作を使います。
使い方が変わりますから、必然的に細くなりますね。
川内選手はふくらはぎを鍛えすぎて太くなってしまっているとのこと。
だとすると、今後のパフォーマンスがまだまだ楽しみですね。
Spot the odd one out…Some legs are born to run,others not so much!Kenyans,skinny calves & long tendons. @adidasZA pic.twitter.com/YZ03jgJ9us
— Ross Tucker (@Scienceofsport) November 28, 2013
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