ダイブスタートのキックはいつから?


RIMPAC international swim meet

競泳のスプリントレース(50m、100m)のタイムはスタートに大きく影響されます。
そんな中「スタート・ターンの後、キックはいつからすればいいの?」との質問を受けました。

残念ながら簡単な答えはありません。
個人個人のいろんな要因を含めて、スタート作戦を立てます。
今回の投稿では、私たちが大学時代に研究した内容を紹介します。

先ずはグライド(水の中)の要因に分けて考えてみましょう。
1. ストリームラインポジション(グライド)時の抵抗
2. ストリームラインポジション(キック)時の抵抗
3. キックでどれくらいの推進力が作れるか

私も関わった 西オーストラリア大学と国立スポーツ研究所での研究ですが、
16人のスイマー(50mフリー 平均25.60秒, 50mバッタ 平均27.50秒)から、特別なプリーシステムを使い、様々なデータ(スピード・抵抗など)を計りました。

force_measurement_system

結果から導き出される事は、、
推進が2.2~1.9m/秒まで落ちてきたらキックを始める。
それより速いスピードの時にキックを始めたら、キックでの抵抗が増え、却ってスピードが落ちてしまう。

これはターン後のグライド作戦に使えますね。 飛び込みスタートだったら?
水に入る前に(空中の時)
1. 入水時の角度
2. 体の姿勢(ポジション)
で更に複雑になります。
(ここでは紹介しきれないので、省略します、、、)



↑を踏まえた2009年フランスの研究 (私たちの論文は現在の世界基準になっています)

8人のフランス代表選手(50mフリー 平均24.41秒)のスタートを4台のビデオカメラを使って、体の9ポイントをトラッキングして速度計測。
彼らは、スタートから6.02~6.51mで 2.2~1.9m/sになりました。
つまり 彼らのレベルだと、6~6.5m辺りからキックを始めるのが一番効率的といえます。

私の大学時代からさらに進んで、今のオーストラリア国立スポーツ研究所に通っている選手は、こんな風にスタートとターンを細かく分解して調整しています。

いろいろなデータからみて、キックに対してよくある間違い 3点(全レベル:エリート含む)

1. キックを始めるタイミングが早すぎる。作る推進力以上に抵抗になっている。

2. キックが大き過ぎる。水中のキックはただ大きなキックではなく、ピッチとバランスしてカルマン渦で推進。キックの振幅を抑え、回数を増やす方がよい。
karman_vortex_street_Arellano

3. 上半身(腕と胴体)が動き過ぎる。 前に進む力が上半身に吸収されてしまう。あと上半身は進行方向を決める(浮上時など)役割があるので、動き過ぎると進行方向がブレてしまって、抵抗が増える。

この投稿で、フォームの研究・解析・指導の現場(レベル)を知ってもらえたらと思います。
私たちは(研究所では) トップ選手のもっともっと細かいところを計ったり、指導・調整をしましたが、一般の人は、最初からここまで細かいところを意識しなくてもいいと思います。
ワークショップやクリニックに参加した人はご存じと思いますが、動作を学ぶのは幾つもの段階に分かれています。
先ずは簡単な(大きな)動作を意識して、それがマスターできたら、少しずつ順番に細かい動きを意識する方が効果的です。

Top photo credit: “Official U.S. Navy Imagery”. CC License.  

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