大会前に 強度を上げたいが ケガも怖いし、、、


Guo Jingjing
今回は、この時期ならではの 難しい案件について、、、
メインレースが近づくと特に、“強度を上げながらも ケガの手前で抑える” ことのバランスが難しいところです。
そんな中、ユニークな研究発表があったので アップします。

疼痛耐性(痛みに耐えられる特性)はとても興味深い特性です。
今までの研究(リハビリテーション系)で、運動することで痛みの感覚を軽減できる事が判ってきました。
ところがいろいろ調べてみると、普通の健康な人の疼痛耐性は あまり研究されていないようです。
94年に(オンラインバージョンはありませんが、、)1件あった研究で、有酸素運動をすると疼痛耐性が上がる事がわかってきました。
が、一見 効果の高そうなレジスタンストレーニング(いわゆる筋トレ)では 効果が出ませんでした。

また、今年の2月に発表されたオーストラリアの研究でも、有酸素運動をすると疼痛耐性が上がる事が確認できました。
24人 (男:3、女:21、平均年齢:23)を運動(12人)と運動なし(11人)の二つのグループに分けた。
運動するグループは、6週間に週に3回、30分の運動(固定自転車)(HRRmaxの75%)
運動なしグループは何もしない。
(HRRmax :207-年齢 x 0.7)

プログラムが始まる前と終わった後。 痛みの測定は二種類:
圧痛閾値(高強度):体の筋肉を4箇所に計りました。このテストは筋肉に圧力(kg)をかけて、痛みを我慢できない(「ストップ」という)まで。 その時の圧力を記録(楽しくないと思う 笑)。

虚血性疼痛閾値(長時間):力を入れて(Maxの30%)手を握って開く。グゥ(4秒)・パァ(4秒)・グゥ・パァ。 血圧計を使って、血の流れを止める。 いつまで続けられるかの時間を計って記録。

結果は:
運動したグループの12人の中に10人の虚血性疼痛閾値(長時間)は上がりました。
運動なしグループも11人の中5人が上がる。
二つのグループの圧痛閾値(高強度)はほとんど変わってなかった。


今のところ虚血性疼痛閾値を上げる(長くガンバれる)メカニズムは分からないけど、生理的もしくは心理的な適応も可能性があります。
どちらにせよ、長くガンバれるなら トレーニングを続けることができますね。

では、どの位高くなる?

少し古いデータですが、1981年に水泳選手を使った研究がありました。

選手3種類:
1.30人エリート(スコットランドナショナルチーム)(男:16、 女:14)
2.30人クラブレベル(男:13、 女:17)
3.26人競技してない(男:10、 女:16)

オーストラリアでの研究とはちょっと違う測定方法ですが全員を測定。

疼痛耐性は変わりないのですが、虚血性疼痛閾値(グゥ・パァですね)が相当変わりました。
1.30人エリート: 平均137.7回
2.30人クラッブレベル: 平均89.2回
3.26人競技してない: 平均70.1回
男・女もあまり違いがない。

虚血性疼痛閾値(長くガンバれる)は トレーニングの強度と関係するとの見解です。

この二つの研究の研究者のコメントから考えるに、、、
エリート選手ほど高強度の練習時に痛みをガマンできるように思えますが、これは“単純に高強度に耐えられる”ではなさそうです。
疼痛耐性が高いのは、コンディションニング もしく自分のやる気か コーチからの影響と思われます。
高強度のトレーニングができるけど、その分 痛みに対するレシーバーが鈍ってるからケガをするリスクも上がる。 本来 痛みとは、身体の危険に注意するための防衛線です。

以上の理由で、エリート選手の痛みは 細かくチェックしないといけない。
ACミラン(ミラン・ラボ)は 2週間に1回選手をテストして、怪我の予防をしているとの情報もあります。

この時期(大会前)に強度を上げていくと、いろんな小さい痛みが出たりします。
その際 私は、選手一人一人と毎日相談しながら、メニューの調整をしています。
頻繁なチェックは、エリート選手には必須事項ですね。

チームやご自分を、頻繁に 正しくチェックしていますか?

Photo credit: “Marco Paköeningrat”. CC License.


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