マラソンのトップ選手は レース中にどのくらい飲んで どのくらい汗をかく?


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以前(1月19日)書きました “マラソンの栄養作戦” の記事について、いろんな意見 質問を戴きました。
特に多かったのは 実際にはどのくらい飲んでるのか?
今回の記事は、この時のデータをもう少し詳しく紹介します。

前の記事の重要なポイントは「作戦」です。
トライアスリート(特にアイアンマン)はよくわかってると思いますが、栄養作戦を立てる時には非常事態への対処分も含めています。
レース中のコンディション(天気など)の変化や、作戦を失敗(エイドステーションでミス、ボトルを落としたりなど)対策ために、過剰に準備します。

ハイレは2008年のベルリンで、確かに約2L+αのドリンクを用意していました。 当然全部取ってないと仮定することもできます。
作戦を組む時には多目にしてます(足りないよりはいいでしょう)。

では、実際どの位飲んでる?


2012年の研究では マラソン界の最も有名なランナーのデーターを集めた。
ハイレ・ゲブレセラシェ(元世界記録)
パトリック・マカウ(元世界記録)
サムエル・ワンジル(2008年オリンピックチャンピオン)
ステファノ・バルディーニ(2004年オリンピックチャンピオン)
と他の強いマラソンランナー
ケネニサ・ベケレ
マリウソン・ゴメス・ドス・サントス
など



この研究の目的は、このトップ選手たちが ‘どのくらい水分補給してる’ と ‘どの位汗をかく’ とで いくつかのパートに分けました。

先ずはメジャーな大会での優勝者の水分補給量を推計しました。
その結果として、補給量の差は あくまでも選手の個人差であること。 それとこの差は環境条件にはあまり関係がない。
たとえば2006年のロンドンマラソンの優勝者(Felix Limo)は、次の年の優勝者(Martin Lel)よりたくさん飲んでたけど、2007年のほうが ずいぶん暑かった(2006年10度±1、2007年18度±3)

次に、ハイレ・ゲブレセラシェを2009年のドバイマラソンの前と後(優勝しました)でいろいろ計りました。
そこから分かったのは、、、
体重は スタート時から9.8%も減りました(58.2kg から 52.5kg)。
レース中に1.7Lを補給し、1時間に汗を3.6Lをかきました。
明らかにこのデーターは、ハイレ・ゲブレセラシェがベルリンで世界記録を達成した時(2007と2008)のデーターと一貫性がありました。
“体重の減少はスタート時から2%以内でないとパフォーマンスが落ちる” は、ハイレには当てはまらないようです。

最後に2008年のオリンピック前に天候(気温や湿度など)との関係を調べました。
ハイレ・ゲブレセラシェ、ケネニサ・ベケレ、マリウソン・ゴメス・ドス・サントスが参加してた(他にも何人かの選手が参加したようですが詳細は不明です)。
平均で一時間2.3Lの汗をかきました。

まとめ

研究者がパターンにハメよう(たとえば気温対補給量)としたが、データーは余りにもバラバラでした。
トップ選手の飲水行動は個人の好み:どのぐらいのど乾いたかと 胃がどの位耐えられるかによる。
汗で無くなった水分を取るのでもなく、スタート時の体重の2%以内に維持するつもりもない

最後に、だからと言って よい子はそのままマネしないでくださいね 笑)

Photo credit: “barosz”. CC License.


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「マラソンのトップ選手は レース中にどのくらい飲んで どのくらい汗をかく?」への1件のフィードバック

  1. ありがとうございます。
    本当に真似出来ませんね…即効入院に成ります。
    やはり、過酷な環境で過酷な練習をした限られた強者の特権です。恐らく、体の代謝反応で、走りを続行出来る能力が発達したと思います。水分が足りなくなった時に(脱水)、走りに貢献していない臓器から水を奪って、それらの臓器を冬眠モードに変えている。
    本来は、逆に脳、心臓と肺の後の優先順位は腹部の臓器ですが彼らの場合は脚の筋肉がその臓器の順位を取っていると思いますね。真似したくても、脳からの命令で脚が重くなり、真似出来ませんね…

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