連続長距離レースの影響と回復を科学します


desertmarathon_flickr_USarmcorps

マラソンブームで幾つものレースに連続出場される人も増えてきてます。
エントリーのサイトを開いてみると、土日でマラソンを2本、月に4本とか、またはウルトラマラソンのイベント(4~5日連続マラソン)なんてエントリーも出来ない事はありません。
ウルトラマラソンやマルチステージ(バイクのツールなど)のイベントを見ると、連続でマラソンを走る事は可能な事です(何千人もやってます)。
長距離レース自体は連続で走っても問題ないのですが、短期間にすると自己ベストのパフォーマンスは出せない。
それでも、連続で走るん(バイクも含めて)だったら、身体に対する影響は知っておいた方がよい。
今回の投稿は、このことに対しての研究を紹介します。

身体の長距離レースでの反応

極端な長距離レースに参加してる人数が少ないながら、研究者たちには注目されています。 限界に近い圧力を掛けた時の応答は いろいろ勉強になります。

2008年にドイツであった17日間1200kmに参加した10人(男)の体の変化を研究されました。
この10人の レース中の水和 、体重、筋肉量、脂肪量などを記録されました。

レースの間に脂肪量が3.9kg、筋肉量は2kgが減りました。
興味深い点は体重はほとんど変わらなかった事。 脂肪と筋肉に減った分はほとんど水分になりました。
この結果にたいして研究グループの所見は:
連続で70km/日を走ると、筋肉のタンパク質を破壊してしまい、腎臓を過負荷して体の水分率が上がる。
筋肉と脂肪までエネルギーに使うことで、ホルモンのバランスを崩れて、体の水分保持コントロールが崩れてしまった。
レースの間の食事摂取が、体の反応に大きな影響があります。
残念ながら、この研究では栄養補給を記録しませんでした。
最終的に脂肪と筋肉の減る原因は、カロリー摂取量がたりないと判断されました。

ステージレースでの必要カロリー

他の研究で見ると、連続するレースのイベント自体(エイド等)の制約や、用意されててもレース中に食べられるかどうか等、必要カロリー分を取るのがかなり難しいこと。

4851kmを4人で繋ぐ自転車レース(Race Across America)に参加したチームを研究されて、一人のサイクリストは毎日6420カロリーを消費していました。なのに平均で毎日4918カロリーしか取れなくて、レースを終えると かなりのカロリー欠乏になりました。

同じように、個人で5日間 アルプスで2272kmの自転車レース(XXAlps 2004)に参加した選手のデータを見ると、8000~11000カロリーの欠乏になりました(ちなみにトータル51246カロリーを消費していました!)。  予想どおり、体重(2kg)と筋肉量も減りました。

次は、ウルトラマラソン選手が「オーストラリアを1周」に挑戦した時のデータです。
オーストラリアを1周のコースは14500km。
この選手の195日間(70~90km/日)の間の 2週間を研究されました。
特別の道具を使って一日の消費カロリーは6300でした。
この研究も2週間の栄養補給は記録できませんでしたが、2週間で体重は1.5kg減り、最終的に(195km走った後)合計体重1kgを減りました。
ということは、こういうイベントだったら何とかエネルギーを平衡ができる。

このケースは極端ですが、分かってくるのは、連続レースをすると必要なエネルギー量が半端ない!!
こういうイベントに参加するのだったら、単純に考えても、通常のエネルギーの2倍以上は必要です。
それと、単発のマラソンと違って、炭水化物でエネルギーを取る事できない。
連続長距離イベントはタンパク質、脂肪が必要、、、後は水分。
「オーストラリアを1周」の選手は一日に水分を6Lを取りました。 オーストラリアの暑い気候で70~90km/日を走るからこその量ですが、極端なイベントでは極端な補給が必要です。



リカバリー

連続レースに挑戦するんだったら、リカバリがものすごく大事。
でも長距離運動でどの位ダメージを受けてる? そして そのダメージの回復にはどの位の時間が掛かる?

一つ目の研究で、酸化的DNA損傷が マラソンの後7日間以上残る事がわかってきました。
運動中に活性酸素を生産します。活性酸素が細胞核に浸透して、DNAに損傷を誘発する可能性があります。 そうなるとDNA鎖切断(DNAのダメージ)。
研究データのグラフ:

dnastrandbreaks

DNA鎖切断(DNAテールにの%)
Day 0:マラソンの日
Day 7:マラソン後7日
Day 14:マラソン後14日

もう一つの研究は、マラソン3~4日後に ミオグロビンが血流内にまだ流れてる。
ミオグロビンは普段筋肉にあるタンパク質です。
筋肉の損傷のとき ミオグロビンは血流に流れます。
研究の参加者(34人)はマラソンレース前のミオグロビンレベルは平均74.8ng/ml(普通範囲:0~107)でしたが、レース直後平均は500ng/ml以上(3~4日後も同様)でした。

三つ目の研究は マラソン選手の脹脛に注目しました。
この研究のまとめは、激しい練習やマラソンのレース自体が 脹脛の炎症と筋線維壊死を誘発します。
この炎症と筋線維壊死が、筋肉のパワーと耐久性を マラソン14日後まで損なっています。

この三つの研究で、身体がマラソンで受けた細胞レベルのダメージは、7~10日後でも回復しきっていない と言えます。
その事からも、連続レースをするのなら “リカバリー” が大事。

回復をさせる方法

次のレースまでにできるだけ回復するためには、リカバリーはレースの直後から始めないといけない(不可欠)。 簡単な そして理想的な回復手順:

  1. レースを終えたら すぐ水分補給。 糖分と塩分に入ってる物が好い。 糖分でインスリン反応を開始させる。
  2. 軽めの食事。 炭水化物:タンパク質=4:1。 もっと食べれるようなら、できるだけ食べる。
  3. 短いダウン。 経験あるランナーならイージーなジョグを10~15分。  初心者・筋肉痛を感じるようだったら10~15分の散歩。
  4. ストレッチ(?)
  5. アイスバス(?)
  6. レース後2~3時間:普通のバランスの良い、健康的な食事(野菜をメインに)。
  7. 足を上げる、もしくはマッサージ。
  8. 寝る前にお風呂。
  9. いっぱい寝る。
  10. 後日:マッサージスティック・ローラー等で「硬い」・「痛い」ところをほぐす

やる事が多い(これ以外の事もある)けど、回復率を向上させて 早めに次のレースの為のコンディションに戻れるようになります。

まとめ

きちんと栄養補給しなかったら、連続レースをするとあまりいいパフォーマンスをできない、もしく健康にもよくないのは確実です。
レースとレースの間で 回復に集中しないと、次のパフォーマンスに大きな影響があります。

研究例が少ないので、長期的な健康への影響もまだわかりません。

ある研究では、マラソンの完走者の心臓へのダメージの証拠もありますから、短い間に連続でマラソンを走ると、このダメージを悪化させる可能性も否定できない。

こういうイベントを参加するのなら、科学的にきちんと栄養を補給して、リカバリーを大事にする事が身体の整合性を保存する為に一番大事と考えます。

Photo credit: “USACE Europe District”. CC License.


この記事が役に立ったと思われたら、ぜひ「いいね!」や「シェア」をお願いいたします。 また、Twitterもやっております


follow us in feedly

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください