マラソン 補給の盲点?


fuelbelt_flickr_exMagician先月、ハイレ・ゲブレセラシェのマラソン世界記録更新の時の栄養作戦を投稿しました

投稿した記事がいろいろなブログにリンクされ、おかげ様で多くの人に見ていただきました。
その後 各々の栄養作戦を変更されたりしていますが、今回はいくつかの要注意ポイントを挙げてみます。
注意しないと、逆にパフォーマンスを落とす可能性もありますので、、、。

1. タイミング
細かく書いてはありませんでしたが(企業秘密ですから…笑)、スポーツドリンクには炭水化物も入っていたと思われます。
そして、後半の補給をジェルと水に切り替えたのは、ハイレの胃の炭水化物消化力の限界と関係があるのかもしれません。もしくは水分補給に関係あるのかも….。
個人差もありますから、ラボでテストしてみないとわからない部分でもあります。

たとえば体重60kgとして、、、
2h05 で走る人ならば、1260cal/hour で 2620cal と計算できます。
3h00 は~875cal/hour  2625cal
3h30 は~750cal/hour  2625cal
4h00 は~650cal/hour  2600cal となります。

必要なエネルギーはあまり変わりませんが、トップ選手は短い時間に同じエネルギーを使います。
なので摂取(というより吸収)にも気を使って、こういう(ハイレのような)作戦を立てます。
終盤だけではなく、ずっと食べる必要があるでしょう。
一般のランナーがジェルを使うなら、説明書通り スタート前と30~45分毎に一本でいいと思います。

2. 炭水化物はそんなに要る?
ジェルの本数を増やそう、、、との方がいらっしゃいました。
ですが もしかすると、ハイレと同じ量は必要ないかもしれません。
レースの最初から最後まで攻めていける(高強度)トップ選手の場合は、筋肉内に貯めた炭水化物でエネルギーを出します。
が 一般のランナーはどうでしょう?
炭水化物を使い切る可能性もありますが、強度がそこまで高くなければ脂肪も使っていますから、レース中に炭水化物(ジェル)をそんなに摂る必要がないかもしれません。



3. 水分
脱水の為だけではなく、栄養を取る時には水分も必要かもしれません。
異常に強い胃のランナーだった問題ないかもしれませんが、ジェルを取ると必ず水分も摂る。
でないと吸収しにくいと思われます。
栄養(炭水化物)は胃に残っていたのでは意味がありません。 できるだけ早く吸収させて 使ってる筋肉に運んでほしい。
粘度の高いジェルを水なしでとると、胃に残って胃部不快感を発生させる可能性すらあります。
小さい大会などはエイドステーションが不定期になるので注意したほうがいいですね。

4. マラソンより長いレース(ウルトラやトライアスロン・ロングなど)
必要なエネルギー自体はトップ選手とあまり変わりませんが、一般選手は身体にローディングできるエネルギー量がそんなに多くないので、4時間以上かかるなら もっと栄養を取らないと足りなくなってしまう可能性があります。
また、12時間以内のゴールだったら液体やジェルで大丈夫だと思います。 が、12時間以上になると、固形物を含めた作戦もアリだと思います。

“There is no analysing random thoughts. Just eat, drink, and run.”
(考えるもなにも、食べる 飲む と走ること:意訳)

2013年のアイアンマン・コナで優勝した(8:52:14)ミランダ・カーフレイ選手へのインタビューで、「ラン(3.8kmスイムと180kmバイクの後に、フルマラソンを2:50:38で走った)に入ったらなにを考えたか?」に答えたコメントです。
栄養摂取をそうとう意識してますよね。
まとめると、トップ選手の作戦をそのままマネるのは如何なものかと思います。
栄養摂取だけでも、トップ選手はラボでいろいろ計ったりして、それはそれは綿密な栄養作戦を立てています。
また、トレーニング時にも 栄養を摂る練習もしています。
だからレースペースの強度でも、胃に入れた栄養分を吸収できるのです。

持久系スポーツで、栄養摂取に意識がいくのは非常にイイ事だと思います。
ただし栄養補給は、ただ“出来るだけ取れ!”的な感じではありません。
実際のパフォーマンスの為には、いろいろな条件を含めて そして経験を重ねながら作戦を立てるべきだ思います。

Photo source: “ex_magician”. CC License.

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