先月、自転車のタイムトライル栄養作戦の中で、“炭水化物を溶けきれるまでほっぺたの中に入りこんで、、、” と書きました。
実はこのやり方は、10年くらい前から、いろいろ研究されています。
今の段階では、スポーツドリンク(炭水化物の入っているドリンク)を口の中に含んで出す(飲み込まず)と、30分以上の運動にパフォーマンスを向上できる事が解ってきました。
ちなみに1時間以下の運動では、炭水化物の摂取(補給)は間に合いません。
普通の状態だったら、体にある炭水化物は枯渇しませんし、また 炭水化物を口にしても、吸収から筋肉に届くまでの時間が掛かるので、その時点ではもう運動は終わってます。
その代りに、炭水化物を口に含むと、脳に対して好影響があるようです。
fMRIを見ると、口の中に炭水化物(甘味の有無はどちらでも)を入れたら、脳のいくつかの部分が光ります。
そこは 味覚とはまた別の、身体のコントロール機能に関わる部位です。
2010年の研究で60分程度の自転車タイムトライルで、スポーツドリンクを飲み込むより、口に含んで出した方が結果がよかった。
この研究者の説明は:
スポーツドリンクを飲み込むより、脳と繋がってる口の中にある炭水化物センサー(味覚とまた別)を刺激する時間長いと考えてた。
去年の研究では、ほんとに口に含む時間が関係あるかどうか、実際どのくらい含むと効果が出るのかを確かめた。
11人を30分の自転車テスト。
三つのパターン
1. 水を5秒含む
2. スポーツドリンク(6.4%炭水化物)を5秒含む
3. スポーツドリンクを10秒含む
第1パターンに水を使ったのは ちょっと研究に弱いですが、スポーツドリンクの5秒と10秒の結果は面白い:
グレー: スポーツドリンク10秒
白:スポーツドリンク5秒
黒:水
スポーツドリンクを10秒含んだら、5秒よりも結果が伸びました!
ちなみに参加者の自覚的運動強度(RPE):
ということは:
もっと長くしたら、もっと遠くまで行けた? もしくは楽に行けた?!
この10年間の研究で彼らは、脳の中に筋肉(動き)の制限コントロール(central governor)があると考えています。
そして このコントロールは、筋肉や口の中にあるセンサーから信号を受けて、筋肉の動きに影響させる(オーバーレブを防止する)。
他のポイント:
炭水化物の含み効果は30分以上の運動で効果あり。
(別の言い方をすれば、30分以下だと 補給云々より、蓄積した栄養分で充分)
当然、体内の炭水化物レベルによって結果は違います。
ひと晩絶食した人には 大きな効果があります。
また、運動前に炭水化物を取ったとか、カーボーローディングしたなどの場合、結果はバラバラです。
効果あるかなしではなく、スケールで身体が炭水化物をどのくらい欲してるかによります。
また、脳は 2時間以下の運動だと、ダマす事ができる。
それより長い運動時間だと、本当に筋肉に炭水化物が必要なので、ちゃんと摂った方がいい。
これは含みに意味がないワケではありません。
たとえば、長時間の運動(アイアンマン、フルマラソン、ウルトラ)では炭水化物を摂る事が大事ですが、ずっと摂り続けるのが困難な場合、ゴールに近い(残り30分位)段階では、口に含むだけでも効果があると考えられます。
つまり、ドリンクやジェルで補給した栄養を筋肉に届けるとは別の効果として、口に含むことで脳の制限コントロールを解除させてしまう。 しかもそのタイムラグが短いという点も、栄養作戦の有効な一手になりそうです。
どの位の効果か?
“約 2%” これは大きいですよ!!!
Photo credit: “JeffChristiansen”. CC License.
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